ひとつ戻る、最初に戻る【v23】

いつでも「戻れる」ようにしよう。

司会

皆さん、こんにちは。本日は「ひとつ戻る、最初に戻る」というテーマで、T Fきりんさんにお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

TFキリン

こんにちは。こちらこそよろしくお願いします。新しいWebサイトやアプリを使うことは、例えるならば新しい街や新しい施設にやってくるようなものです。迷わずに移動するためには、現在地を示した地図や目印を示す標識が有効ですよね。しかし、自信を持って移動するためには、むしろ「元来た道に必ず戻れる」という安心感の方が大事かもしれません。もし迷ったら、ひとつ戻ってみる。そうすれば別の道を試すことができます。退路の確保ができていれば、自信を持って先に進めるというわけです。

たぬき

確かに、最悪の場合でも最初の出発点に戻ってやり直すことができるなら、安心して探索できますね。

TFキリン

その通りです。Webサイトやアプリでも同様のことが言えます。ソフトウェアの操作は一方通行ではなく、進んでは戻るを繰り返しながら、検討しつつ進んでいくものです。どうにもならなくなったらホームに戻る。いつでも戻れるようにすることは、インターフェースデザインの重要なポイントです。

迷ったら戻る、悩んだら戻る

司会

ユーザーが迷ったり悩んだりしたときに、「戻る」機能が重要になるということですね。

TFキリン

はい、どんな人が使ったとしても、最初から最後まで全く迷わず、操作に悩みや間違いがないインターフェースというものは、現実的にはほとんどありえません。なぜなら、Webサイトやアプリは基本的に全世界に対して開かれており、人はそれぞれ異なった文化的背景や経験を持っているからです。同じ考え方をするとは限りません。

たぬき

そのため、ユーザーが迷ったり間違えたりしたときに、いつでも「戻れる」ようにしておくことが必要なんですね。

TFキリン

その通りです。そして、戻り方には「ひとつ戻る(バック)」と「最初に戻る(ホーム)」の2種類があります。場所が分からなくなったときには、まずひとつ戻ります。いくつか戻っても解決しない場合は、最初に戻ろうとします。同様に、操作が分からなかったり間違えたときには、ひとつ戻ります。どうにもできそうになければ、最初に戻ります。電車の券売機から、Webサイトやアプリまで、一般的なインターフェースでは「ひとつ戻る(バック)」と「最初に戻る(ホーム)」の両者を備えています。

「ひとつ戻る」と「最初に戻る」を担保する

司会

では、具体的にどのように「戻る」機能を提供すれば良いのでしょうか?

TFキリン

サービスやインターフェースには「ひとつ戻る(バック)」と「最初に戻る(ホーム)」の2つが必要ですが、実質的にそれらが担保されているのであれば、どんな形であっても問題ありません。例えば、Webサイトでは「サービスロゴ」のリンク先が習慣的にサービスのトップページに設定されています。それによって、実質的な「最初に戻る」機能をロゴが担保しています。アプリでもこの方法はよく取り入れられています。他にも、サイドメニュー内にホームリンクを設置する形でも良いでしょう。

たぬき

確かに、ロゴをクリックしてトップページに戻るのは一般的ですね。「ひとつ戻る」機能についてはどうでしょうか?

TFキリン

「ひとつ戻る」機能は、デバイスやOSによって異なるため、配慮が必要です。例えば、AndroidとiOSを比較すると、どちらも標準で「ホーム」ボタンを備えていますが、Androidには「戻る」ボタンがあります。一方、iOSには「戻る」ボタンがありません。この違いが、両者のインターフェースの決定的な違いを生んでいます。

たぬき

なるほど、デバイスごとの違いを考慮しなければならないのですね。

TFキリン

はい。「戻る」ボタンは重要な機能であるため、ハードウェアやOSレベルでカバーされていることが多く見られます。Webサイトを表示するブラウザは、必ず「戻る」ボタンを持っています。Apple TVなどのテレビデバイスを操作するリモコンにも、ほぼ間違いなく「戻る」ボタンは標準装備されています。

iOSでの注意点

TFキリン

問題になるのは、iOSアプリのインターフェースを検討する場合です。画面のどこかに「戻る」ボタンを置いて、ひとつ戻るための機能を担保する必要があるからです。逆に言うと、他のデバイスでは「戻る」ボタンを気にする必要性がはるかに小さいとも言えます。特に、Apple純正のアプリでは、画面左端からのスワイプでも「ひとつ戻る」ことができるものが多くなりました。しかし、すべてのアプリでその操作が保証されているわけではありません。例えば、「写真」アプリでは、スワイプは画像の切り替えに使われています。

たぬき

つまり、スワイプによる「戻る」はあくまで補助的な手段であり、画面のどこかに「戻る」ボタンを設置する必要があるということですね。

TFキリン

その通りです。Appleとしては画面左上に「戻る」ボタンを置くことを推奨していますが、アプリによって配置がまちまちなのが現状です。ユーザーが迷わないように、一貫した場所に「戻る」ボタンを設置することが望ましいです。

司会

本日は、「戻る」機能の重要性についてとても勉強になりました。ユーザーが安心して操作できるインターフェースを設計するために、「ひとつ戻る」と「最初に戻る」をしっかりと提供することが大切なんですね。ありがとうございました。

TFキリン

こちらこそ、ありがとうございました。ユーザーが迷ったり困ったりしたときに、いつでも戻れるようにしておくことで、より良いユーザー体験を提供できます。ぜひ、今後のサービス設計に活かしてください。何か質問があれば、いつでもお声がけください。

たぬき

ありがとうございます!今回のお話を参考に、インターフェースデザインを見直してみます。

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