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こころに留めておきたいこと。
皆さん、こんにちは。本日は「留意事項」について、T Fキリンさんにお話を伺います。よろしくお願いします。
こんにちは、よろしくお願いします。今日は、デザインの現場で心に留めておきたいポイントについてお話ししたいと思います。
それはとても興味深いテーマですね!ぜひ詳しく教えてください。
払った労力にとらわれない
労力と満足感の関係
まず、「払った労力にとらわれない」というのはどういうことでしょうか?
例えば、ある商品を手に入れたとき、「タダで手に入れた場合」と「1000円を支払って手に入れた場合」では、1000円を支払った方が満足感が高くなることがあります。
それは、支払った対価があるからですね。
そうです。これは心理学で「補償」と呼ばれるもので、心のバランスを取ろうとする働きです。この補償は無意識に行われるので、注意が必要です。
制作現場での「補償」の影響
デザインや制作の現場でも同じことが起こるのでしょうか?
はい、まさにその通りです。苦労してひねり出したアイデアや、時間をかけて作ったモックアップには、どうしても固執しがちになります。それは、自分が払った労力に対する対価を求める「補償」の心理が働くからです。
なるほど、自分の労力にとらわれてしまうんですね。
そうです。その結果、客観的な視点を失い、本来の目的からずれてしまうことがあります。だからこそ、払った労力にとらわれず、冷静に見直すことが大切なんです。
機能を増やしすぎない
次に、「機能を増やしすぎない」という点について教えてください。
ひとつのサービスや画面に、むやみに機能や目的を増やすのは避けたほうが良いということです。
具体的な例はありますか?
はい。例えば、Appleの「iTunes」というソフトウェアがあります。本来は音楽を楽しむためのアプリケーションでしたが、今では音楽管理、オンライン購入、デバイスの同期、ポッドキャスト、動画管理など、多くの機能を抱えています。その結果、使いにくいインターフェースになってしまいました。
確かに、一つのアプリに機能が詰め込まれすぎると迷いますね。
そうなんです。同じことはウェブサイトの各ページでも言えます。ひとつの画面で多くの異なる機能を持たせることが本当に良いのか、常に検討する必要があります。
売り手の都合を買い手に押し付けない
「売り手の都合を買い手に押し付けない」とは、どういうことでしょうか?
サービス提供者側の都合やシステム的な制約を、利用者側に不利益として押し付けるべきではないということです。
具体的な例を教えていただけますか?
例えば、入力フォームで「全角で入力しないと受け付けない」という仕様があります。住所の番地などで数字やハイフンを全角で入力させるのは、ユーザーにとって不便ですよね。本来、システム側で変換すれば済む話です。
確かに、それは利用者に負担をかけていますね。
他にも、JR東日本の「えきねっと」では、管轄外の駅でチケットの受け取りができないため、利用者が不便を強いられます。これもサービス提供者の都合を押し付けた悪い例と言えるでしょう。
試してみないと分からない
試作の重要性
「試してみないと分からない」というのは、どういう意味ですか?
どれほど入念に設計しても、実際に作って使ってみないと本当の意味では分からないということです。これはソフトウェアに限らず、さまざまな分野で当てはまります。
ワイヤーフレームやモックアップの活用
試作段階ではどのような方法を使いますか?
まず、ワイヤーフレームや初期のモックアップを作成します。紙とペンを使ったスケッチでも構いません。これにより、考えや方向性をまとめ、関係者との共通認識を持つことができます。
見てみないと分からない
絵にすることで何が変わりますか?
絵にすることで、自分だけでなく他の人も具体的なイメージを持つことができます。その結果、考えから漏れていたことや、間違っていたことが明らかになります。
動かしてみないと分からない
動きのある部分はどうでしょうか?
動きを伴う部分は、実際に作って動かしてみるしか方法がありません。動きの速さやタイミングがユーザー体験に大きく影響することもあります。
早めに失敗をする
失敗することも大切なんですね。
はい、早めに失敗を繰り返すことで、問題点を発見し、新しいアイデアを生み出すことができます。試作はまさにバグ出しのようなものです。
過度に作り込みすぎない
試作にリソースをかけすぎるのは良くないのでしょうか?
その通りです。リソースを注ぎ込みすぎると、その試作案に固執してしまう可能性があります。あくまで試作は軽めにし、柔軟に変更できる状態が望ましいです。
Webサイトやアプリは試作コストが低い
確かに、Webやアプリの試作は他の業界に比べてコストが低いですね。
はい。実物の試作には多大な費用がかかりますが、ソフトウェアの場合は比較的安価に試作ができます。これは大きなアドバンテージです。
人間の想像力には限界がある
「人間の想像力には限界がある」というのはどういうことでしょう?
設計図や構成図だけでは、実際のものを完全にイメージすることは難しいということです。これはデザインの仕事全般に言えることです。
三面図からのイメージの限界
三面図を見ても、立体物を完全に想像するのは難しいですね。
そうなんです。どれだけ訓練しても、完全にイメージすることはできません。同じように、Webサイトやアプリの構成図だけでは、実際のサービスを完全に把握することはできません。
謙虚になる
最後に、「謙虚になる」についてお話しください。
デザインはある意味で「決めつけ」の仕事です。自分の考えや感覚に基づいて判断を下します。しかし、それが他の人にも当てはまるのか、普遍的なものなのかをよく吟味する必要があります。
自分の考えに固執しない
具体的にはどうすれば良いのでしょうか?
自分の考えに固執せず、他人の意見に耳を傾けることが大切です。例えば、赤色は人間の習性で目立ちますが、ハンバーガーメニューの三本線が何を示すかは人によって異なります。
自分が良いと思っても、他の人はそう思わないかもしれないですね。
その通りです。だからこそ、謙虚さを持って他者の意見を取り入れつつ、最終的な判断を下すことが重要です。謙虚さと決断力のバランスが求められます。
本日は貴重なお話をありがとうございました。とても参考になりました。
こちらこそ、ありがとうございました。デザインの現場でぜひ活かしていただければ幸いです。
ありがとうございました!これからも頑張ります。