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インタラクションコストを下げる共通解。
皆さん、こんにちは。本日は「一貫性、シンプルさ、共通概念」について、T Fきりんさんにお話を伺います。よろしくお願いします。
こんにちは、よろしくお願いします。今日はインタラクションコストを下げるための共通解についてお話ししたいと思います。
それはとても興味深いテーマですね!ぜひ詳しく教えてください。
はい。インターフェースデザインの仕事をしていると、まず「使いやすくしてほしい」という相談をよく受けます。次に多いのが「直感的にしてほしい」というものです。
確かに、言うは易く行うは難し、ですね。具体的にはどのように対応されているのですか?
「使いやすくする」ための方法は、状況によって本当に様々です。デバイスが複数にまたがる場合は、さらに複雑になります。ですが、使いやすいサービスには共通して見られる要素、いわば「最大公約数」のようなものがあるんです。
インタラクションコストを低減するために
普遍的な3つの方法
その「最大公約数」とは何でしょうか?
それは「シンプルさ」「一貫性」「共通概念」の3つです。これらは、どんなデバイスやサービスでも当てはまる、人間の認知特性に基づいた普遍的な方法です。
なるほど。それぞれについて詳しく教えていただけますか?
もちろんです。まず、これら3つを備えることで、どんな環境でもユーザーの認知負荷を下げることができます。言わば、使いやすいインターフェースの「共通解」ですね。
シンプルさ
明快で簡潔なデザイン
「シンプルさ」とは具体的にどういうことでしょうか?
シンプルとは「明快」や「簡潔」な状態を指します。つまり、意図がはっきりしていて、理解しやすいデザインです。ただ単に要素を削っただけの「単純」とは異なります。
要素を削るだけではシンプルにならない、ということですね。
その通りです。シンプルにするためには、本当に必要なものだけを抽出し、大事なものとそうでないものを明確に区分する必要があります。見た人が考えずに一見して理解できる状態が理想です。
案内図の例
具体的な例はありますか?
例えば、ある案内図でトイレの場所を示すとします。アイコンを簡略化して整然と並べても、トイレがどちらにあるかすぐに理解できなければ、それはシンプルではありません。複数の解釈が可能だと、明快さを欠いてしまいます。
なるほど、余計な解釈ができないようにすることが大切なんですね。
そうです。シンプルとは余計な解釈がなく、明快であることです。人間は認知のためのリソースに限りがあるので、無駄を削ってシンプルにすることが重要です。
シンプルにデザインする難しさ
しかし、シンプルにデザインするのは難しそうですね。
おっしゃる通りで、シンプルさを実現するには熟考と取捨選択が必要です。新しいものを付け加えるのは容易ですが、既存のものを削るのは抵抗があるものです。また、ただ削るだけではシンプルになるとは限りません。
時間と労力が必要ということですね。
はい。試行錯誤を繰り返し、何が大事かを見極めることで、初めてシンプルなデザインが実現できます。
一貫性
サービス内のルールと予測性
次に「一貫性」について教えてください。
一貫性とは、そのサービス内での規則性やルールのことです。それがあることで、ユーザーは操作の予測がつきやすくなり、認知負荷を大きく軽減できます。
具体的にはどのようなメリットがありますか?
一貫性によって信頼感が生まれます。また、機能追加や改善にも対応しやすくなります。ルールが統一されていれば、新しい機能が増えても学習の負担が少ないです。
大きなルールほど先に決める
一貫性を持たせるためのポイントはありますか?
大きなルールほど先に決めることが重要です。後から統一しようとすると、手間も時間もかかります。また、ルールは絶対ではなく、部分的に緩めることで分かりやすくなる場合もあります。
共通概念
文化的なルールに従うこと
最後に「共通概念」についてお願いします。
共通概念とは、誰もが知っている文化的なルールのことです。例えば、「青文字はリンク」「虫眼鏡は検索」などです。これらに従うことで、新たな学習コストを減らせます。
確かに、見慣れたアイコンやデザインだと安心感がありますね。
その通りです。しかし、共通概念に逆らうと認知負荷やストレスが増えます。例えば、下線のテキストをリンク以外で使うとユーザーは混乱します。
共通概念に逆らうリスク
共通概念を守ることが大切なんですね。
はい。共通概念は決まった約束事なので、好むと好まざるとに関わらず従うべきです。これに逆らうとユーザーの混乱を招きます。
ユニバーサルデザインと文化の違い
地域的・企業的な文化の違い
共通概念は国や文化によっても異なりますか?
はい。例えば、日本では○が肯定、×が否定を示しますが、他国では逆の場合もあります。また、企業によってアイコンのデザインが異なることもあります。
ユニバーサルデザインでも完全に統一するのは難しいのですね。
そうですね。ユーザーの背景や使用環境によって、同じ意味にならないことがあります。そのため、対象ユーザーに合わせたデザインが必要です。
直感的とは
予測と結果の一致
「直感的」とは具体的にどういうことでしょうか?
直感的とは、予測と結果が完全に一致する状態のことです。ユーザーの経験や学習に基づいて、思った通りの動きになるデザインですね。
シンプルや一貫性があっても、直感的とは限らないのですね。
はい。直感はユーザーの経験に依存します。そのため、インタラクションコストを極限まで下げた状態が直感的なデザインと言えます。
【実例6】スマートフォンで家電操作(IoT)
具体的な実例を教えていただけますか?
はい。以前、エアコンや照明などのIoT家電をスマートフォンで操作するアプリの依頼を受けました。主な要望は以下の4点でした。
1. 複数の家電を一つのアプリで操作したい。
2. よく使う機能は簡単に、細かい機能も一通り操作できるようにしたい。
3. シーンごとにボタン一つで操作したい。
4. 外出先から家の様子を知りたい。
デザインの試行錯誤
どのようにデザインを進めましたか?
まず紙とペンで大まかな案をまとめました。シーンごとの大きなボタンを設置し、機器ごとのリモコン画面も用意しました。しかし、どこか野暮ったい感じがしたので、タブ型からボタン切替型に変更し、全体的に柔らかい印象にしました。
改善を重ねていったのですね。
はい。最終的に、ホーム画面を中心とし、よく使う機能をピックアップして設置できるようにしました。背景画像が時刻によって変わる工夫も盛り込みました。
仕上がり
完成したデザインはどのようになりましたか?
画面上部に天気と部屋の状況を表示し、その下にシーンごとの大きなボタンを配置しました。よく使う機能ボタンは最大6つまで設置でき、リモコン機能や設定画面へのアクセスも直感的に行えるようにしました。
ユーザーの使いやすさを重視したデザインですね。
ありがとうございます。シンプルさ、一貫性、共通概念を意識してデザインすることで、インタラクションコストを下げることができました。
本日は貴重なお話をありがとうございました。とても勉強になりました。
こちらこそ、ありがとうございました。また何かありましたらお気軽にご相談ください。
ありがとうございました!