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そのアイコン、誰もが同じ意味で使ってますか?
皆さん、こんにちは。本日は「アイコンの役割とその使い方」について、T Fきりんさんに詳しくお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
こんにちは。こちらこそよろしくお願いします。今日は、ユーザーに対して意味や操作を素早く視覚的に伝えるための記号である「アイコン」についてお話ししたいと思います。アイコンを使うことで、とっつきやすさ、親しみやすさ、覚えやすさ、区別のしやすさ、世界観の表現、省スペース化など、様々なメリットを提供できます。これは、作り手であるデザイナーや開発者にとっても、使い手であるユーザーにとっても同じように有用なものです。
確かに、アイコンは視覚的に情報を伝えるのにとても便利ですね。しかし、アイコンだけで全ての意味を伝えることはできるのでしょうか?
良い質問ですね。実際のところ、アイコンは絵だけによって全ての意味を伝えるものではありません。また、誰もが同じ解釈をするとは限りません。アイコンの解釈は、それぞれのユーザー個人が持つ、これまでの体験や知識に依存します。
誰もが同じ意味で理解されているアイコンもあれば、解釈にバラつきのあるアイコンもあり、国籍や文化によっても異なります。アイコンの特徴を理解し、上手く活用することで、サービスの価値を高めることができます。
狭いスペースを有効活用
スマートフォンやタブレットのような表示エリアが大きくないデバイスでは、アイコンはどのような役割を果たしますか?
スマートフォンやタブレットでは、アイコンは必須のナビゲーション要素です。タップするためには、対象にある程度以上の大きさが必要となります。また、PCのようにホバー(マウスオーバー)も使えないため、ユーザーは「見るだけ」でそこがタップできる要素であると判断する必要があります。アイコンを使用することで、限られたスペースを有効に活用しつつ、ユーザーに直感的な操作感を提供できます。
なるほど。PCの場合はホバーを使ってラベルを表示することもできますね。
その通りです。PCではホバーしたときにだけラベルを表示することで、さらにスペース効率を上げることができます。しかし、スマートフォンやタブレットではそれができないため、アイコンの選択や配置がより重要になります。
認知の向上に役立つ
アイコンがユーザーの認知にどのように役立つのか、詳しく教えてください。
アイコンがあることで、テキストだけのインターフェースと比べて、とっつきやすさや親しみやすさを生み出すことができます。また、ユーザーが何度も使って慣れてくると、文字ではなくアイコンの色、形、場所などで操作を覚えてしまいます。これにより、操作上の認知負荷を低減し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。
まとめサイトを活用する
アイコンを選ぶ際に、何か参考になるものはありますか?
はい、アイコンをセットで用意している、いわゆる「まとめサイト」を活用することは非常に有効です。まとめサイトで使われるアイコンは、見せ方に一貫性があるだけでなく、世界中の大多数の人にとって共通認識に近いアイコンだからです。例えば、Googleが提供しているMaterial Iconsや、AppleがiOSなどで使っているアイコンセットは非常に参考になります。
それなら、多くのユーザーにとって理解しやすいアイコンを選ぶことができますね。
ラベルを添えるか、添えないか
アイコンにラベルを添えるべきかどうか、悩むことがあります。どのように判断すれば良いでしょうか?
基本的にはラベルを添えるが、誰もが同じ認識をするならラベルはなくても可
基本的には、誤解を避けるためにアイコンにはラベルを添えることをおすすめします。しかし、そのアイコンが一般的に使われており、誰もが同じ意味で理解しているものならば、ラベルはなくても構いません。
例えば、エレベーターの「開く・閉じる」のボタンや上下移動のボタンには、ラベルがないケースがよく見られます。また、虫眼鏡のアイコンが「検索」を意味すると誰もが知っているように、その場合もラベルは省略可能です。
知られていないものや解釈が分かれるものならラベルは必須
一方で、あまり知られていないアイコンや解釈が分かれるアイコンには、ラベルは必須です。例えば、世界的には「漏斗(ろうと)」のアイコンは「絞り込み」を意味するのですが、誰もが知っているとは言えません。
このような場合にはラベルを添えるべきです。また、いくつもの解釈がありうるアイコン、例えば「人」のアイコンは「会員登録」「アカウント情報」「友達」など、様々な使われ方があります。
こういった場合にもラベルは必要です。
なるほど。ユーザーが迷わないように、ラベルを適切に使うことが重要ですね。
意味が固定化されたアイコン
役割が固定化されたアイコンについては、どのように扱うべきでしょうか?
既に意味が固定化されたアイコンには注意
「フロッピーディスク」のアイコンが「保存」を意味するように、既に役割が固定化されているアイコンは、その習慣に従うべきです。興味深いことに、フロッピーディスクを見たことがない若い人が多いにもかかわらず、このアイコンが「保存」を意味するという共通認識が形成されています。そのため、本来のフロッピーディスクの意味でこのアイコンを用いることは、もはや適切ではありません。他にも「星(お気に入り/評価)」「歯車(設定)」「地球(言語選択)」など、役割が固定化されたアイコンには注意が必要です。
ハンバーガーメニューの是非
ハンバーガーメニューのアイコンについては、賛否両論がありますね。
確かに、ハンバーガーメニューはその是非についていまだに議論があります。否定的な見解としては、「見ただけでは意味が分からない」「直感的なシンボルではない」「ラベルは絶対必要だ」などが挙げられます。しかし、画面が小さいスマートフォンでは特に、メニューを常設することが難しいため、何らかの格納庫のような機能と、それを意味するシンボルが必要とされています。良くも悪くも、ハンバーガーメニューはその役割を担っており、将来的に意味が固定化される可能性もあります。
ユーザーの理解度や慣れも関係してきますね。
そうですね。適切か不適切かはともかく、その役割を担うアイコンが必要であり、ユーザーの理解度に合わせてラベルを添えるなどの配慮が求められます。
渋滞予測アプリでのアイコン事例
具体的な事例として、アイコンの使い方に改善が必要なアプリはありますか?
はい、ある渋滞予測のアプリで、アイコンの使い方に課題が見られました。以下は、Android版「渋滞ナビ」アプリの「簡易図」の画面です。 –
「9つのグリッド」アイコン
「9つのグリッド」アイコンをタップすると、画面上に多数の情報が現れ、もう一度タップすると消えます。これは表示切替ボタンだったのですが、このアイコン(ラベルなし)では機能を予測するのが難しいです。
「星」アイコン
「星」アイコンをタップすると「地域選択」画面に移動します。よく見ると「地域選択」画面下のタブに「お気に入り」とあります。
「虫眼鏡」アイコン
「虫眼鏡」アイコンは一般的に「検索」を意味しますが、この場合「地域選択」画面に飛びます。
さらに、「虫眼鏡」アイコンをタップする前に、右上の「星」アイコンから地域選択に移動していると、移動先が「地域選択:お気に入り」に変化します。直前に見た地域選択タブを記憶しているようです。
このように、アイコンと実際の機能が一致しておらず、ユーザーに混乱を与えています。
それは確かに分かりにくいですね。どのように改善すれば良いでしょうか?
改善策
改善策としては、以下の点が考えられます。
一般的な使われ方に合わせる:アイコンは、できるだけ世の中で一般的に用いられている使い方をします。例えば「検索」ならば「虫眼鏡」アイコンです。
ラベルを添える:共通の認識を得られるか疑わしいアイコンにはラベルを添えます。 – **アイコン化が難しい場合はテキストにする**:無理にアイコンを使わず、テキストのみのタブに変更します。
具体的には、 「9つのグリッド」アイコンは一般的に「アプリ一覧」を示すことが多いため、表示切替のアイコンとしては適切ではありません。切替を意味するアイコンに変更し、ラベルを添えます。
現状の「お気に入り」ボタン(星アイコン)は事実上の「地域選択」への導線となっており、下部の「地域選択」アイコンと機能が重複しています。画面上部の「お気に入り」ボタンは思い切って削除しても良いでしょう。
「虫眼鏡」アイコンは「検索」を強く想起させるため、ここから「地域選択」ができるとは予測しにくいです。より適切なアイコンに変更し、ラベルも添えます。
「地域選択」アイコンからの移動先は、ひとつのページに固定します。状況によって勝手に「お気に入り」のほうに移動してしまうのは混乱を招きます。
アイコン化が難しいものは無理にアイコンを使わず、テキストのみのタブに変更します。 これらの改善により、ユーザーが直感的に操作できるインターフェースになります。
具体的な改善点が分かりやすいですね。アイコンの選択とラベルの有無がユーザーエクスペリエンスに大きく影響することが理解できました。
ありがとうございます。アイコンは便利な反面、誤解を招く可能性もあるため、慎重に選択し、適切にラベルを添えることが重要です。また、ユーザーの視点に立ってデザインすることで、より使いやすいサービスを提供できます。
本日はとても勉強になりました。アイコンの使い方について深く理解することができました。ありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。何か質問やご相談があれば、いつでもお声がけください。